タイトル:中大規模木造建築のための地域間連携促進ツール(企画から連携へ)令和4年度版

ページ
84/136

中大規模木造建築のための地域間連携促進ツール(企画から連携へ)令和4年度版 の84ページ目の概要です。

各ボタンで、目的のページを開いてください。

概要

中大規模木造建築のための地域間連携促進ツール(企画から連携へ)令和4年度版の電子ブックです。

Ⅲ.地域間連携促進データ1.2.8岡山県「あわくら会館」外観執務室(1)建物概要あわくら会館は村産材とともに村内事業者を最大限活用することを考え計画、設計された役場・図書館・生涯学習の複合施設である。木材調達に必要な時間を確保するために構造材・板材を先に分離発注した。伐期ごとの出材量を平準化するために工期を2つに分け、設計・施工工期を調整している。村産材を活用した大規模木造建築の調査事例である。97%の木材は村産材で県内連携で賄われている。村内で調達できない大断面材や集成材は県外から調達している。設計者は県外連携している。(2)地域間連携状況について項目背景企画・設計県内対応県外加工県外材内容・村域の約70%が人工林の村で、50~60年生のスギ、ヒノキが最も多い。・森林資源を活用して持続可能な地域を目指す「百年の森林(もり)構想」事業の一環として、企画段階から村産材利用が求められた。・村産材および川上から川下までの村内事業者を最大限活用するために9年間かけて人工林の賦存量、木材の供給体制等の検討、ならびに設計、建設を行った。・設計開始当初から、木材コーディネータを中心に設計者と木材供給事業者が情報共有した。その結果、部材量が最も多く断面寸法が確保できる一般流通製材による構造計画を行った。・伐期~乾燥・製材、加工にかかる時間に配慮して建て方時期や工事工程を決定することで、各工程の空き時間に必要となるストックにかかる経費を削減した。・工事を2工期に分割し、一度に必要な木材量を減らして素材生産の負担を軽減し、且つ1工区や他の工事での余り材を2工区で用いることもできた。・必要木材量が確定しやすい構造材、板材(床、外壁、天井材)は分離発注とし、先行して村産材の調達が開始できる体制とした。・村内加工工場の手配から建て方までの調整は銘建工業(岡山県真庭市)が行った。・村の起業育成プログラムにより起業した木材関連のローカルベンチャー企業のうち7社が参画した。・これらの成果として、村産材率97%を実現、また村内事業者群は村産材供給のサプライチェーン構築を推進する協同組合を創立した。・ほとんどの木材の乾燥・製材は、近隣の兵庫木材センター(直線距離で約20キロ)で行った。・加工工場の分担は、加工の難易度により、ダイテック(福島県いわき市)、岡本銘木店(兵庫県三田市)、三王ハウジング(愛媛県新居浜市)の三か所を使い分けた。・集成材と羽柄材は県外から調達した。84