タイトル:中大規模木造建築のための地域間連携促進ツール(企画から連携へ)令和4年度版

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概要

中大規模木造建築のための地域間連携促進ツール(企画から連携へ)令和4年度版の電子ブックです。

Ⅳ.資料編【支援ツール17】分離発注方式の業務内容(以下は平成27年度報告書からの抜粋である。)分離発注方式は、建設工事を請け負う施工者とは別に、発注者が主要構造部材や造作材等の木材を木材関係者へ直接発注し、施工者へ支給する方法である。発注者は、木材を分離発注するために木材購入仕様書を作成し、発注後に木材品質等を管理するための納品依頼書や検査調書の素案などの書式を作成し、製品検査等を行う必要がある。設計者は、発注者が木材を分離発注できるよう、事前に木材情報を把握し設計へ反映させた木材調書や仕様書を作成する必要がある。分離発注方式では、一括発注方式に比べ、発注者の業務量が増えることを理解しておく必要がある。分離発注方式がよいのは、木材供給が行いやすい工期で木材を発注でき、地域材を地域の関係者で供給できる可能性を広げることにつながるからである。そのためにも、各関係者に必要な業務内容や量を事前に把握することで効率的な取り組みへつなげることが求められる。以下に、分離発注方式の注意事項や体制づくり、実施方法等を紹介する。(1)分離発注方式の注意事項分離発注は、地域材を使える利点はあるが、発注者が責任を持って建築に求められる木材品質を確保し施工者へ支給しなければならない。木材の発注段階から調達、支給までに必要な作業があることを事前に把握しておく必要がある。また、調達木材は、工事工程にあわせて支給するために、木材を保管する場所の確保も必要である。1調達木材の所有者分類確認木材を分離発注する場合は、地域材を分離発注する場合が多い。その際の地域材は、発注者が所有している山林の立木を使う場合と、所有者は民間等で市町村県の産地地域を指定した材を使う場合がある。また、部分的には一般流通材も調達する場合がある。それぞれの場合で発注者が関わる内容が異なるので、地域材の所有者分類を明確にしておく必要がある。特に、発注者が所有している山林を調達する場合は、立木を製材した後の端材の利用なども明確にする必要がある。発注者は、木材価格や調達期間、地域の木材調達可能能力を見極め、保有林、民有林、一般流通材をバランスよく割り振り分離発注することが、効率的な木材発注につながることの理解も必要である。地域材として一種類の材料にしてしまうことで材料費が割高になることや、必要な量の材料確保が困難になる場合もあるためである。2保管場所の確保分離発注を行う場合は、調達した木材を一時保管する場所が必要である。関連する製材所等が木材を保管する場所がある場合は不要である。建設する建物規模にもよるが、延べ床面積から木材量を概算し、工事工程を考え、木材の保管場所を確保することが、伐採前に必要である。使われていない倉庫などを使う場合がある。建屋がなく屋外に設置する場合は、雨がかりを防ぐ簡易な屋根やシートなどを材料の上に乗せ、保管する方法もある。木材加工期間が冬季で雪が降る地域等では、保管場所で木材の継手仕口などを加工する場合もあるので、加工スペースも見込む必要が出てくる。各種専門家を交え、木材の保管方法、工事期間、木材加工の有無などを考えた木材保管場所の確保と財源の確保が必要である。3発注者業務量の増加分離発注方式では、一括発注方式に比べ、発注者の関連業務量が増える。一括発注では施工者が対応している、木材を発注し現場へ納品されたものの品質を確認する部分を発注者が行うことになるためである。一括発注方式の場合130