タイトル:中大規模木造建築のための地域間連携促進ツール(企画から連携へ)令和4年度版

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中大規模木造建築のための地域間連携促進ツール(企画から連携へ)令和4年度版 の127ページ目の概要です。

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概要

中大規模木造建築のための地域間連携促進ツール(企画から連携へ)令和4年度版の電子ブックです。

発注者が、施工者へ木材調達も含めた一括発注を行う場合には、設計者が木材調書と品質管理仕様書を作成する必要がある。設計者は、標準的な仕様書を書き写すのではなく、地域材の特性や地域の木材供給能力を考慮した、品質を設定し仕様書を作成することが必要である。(2)一括発注方式における木材調達の種類内容と役割分担一括発注方式では、工事期間内に必要な木材量と品質を確保することが求められる。工期内に木材を調達するには、施工者へすべて任せる方法以外に以下の3つの方法がある。●市場に流通している一般流通材の利用。●施工者発注前に木材関係者等と事前に協議して必要な木材を準備する方法。●事業を複数年度とし、事業期間内に木材を調達する方法。それぞれの方法により、事業実施主体ごとの役割分担や作業内容が異なってくるので、詳細を以下に解説する。1一般流通材活用併用型<単年度での一般流通材活用併用型>一般流通材は、木造住宅の規格に応じて製材や乾燥が行われた製材であるため、短期間にまとまった量の材料を入手しやすい利点がある。中大規模木造建築物は、各部屋の大きさなどにより構造部材の寸法は多様である。適材適所に一般流通材を活用する方法が求められる。また、設計段階から、可能な範囲で一般流通材を利用した架構設計を行うことも考えられる。中大規模木造建築物は、大架構を有することが多いため、今までは木造化といえば、大断面集成材の活用が主だった。しかし、最近は住宅用一般流通材を組み合わせて大架構を実現し、建設コストを削減する事例も出てきているためである。一般流通材には、国内全域を範囲と考える場合や建設する土地の県内産材で考える方法もある。地域材の示す範囲を明確にする必要がある。すべて市町村材だけで調達することが無理であれば、県産材や流域材という範囲で流通している材料の情報を集めることも必要である。以下へ、一般流通材活用の際の役割と作業内容を示す。実施主体発注者設計者木材関係者作業内容・地域材や保有林を活用するのか、県産材や一般流通材どの産地の木材を使うのか方針をまとめる。・使う材料の産地指定をもとに、規格寸法を考慮した架構設計を行う。場合によっては、集成材や鉄筋コンクリート造、鉄骨造との混構造等も検討する。・地域の木材供給可能情報を発注者や設計者へ伝える。Ⅳ資料編127