タイトル:中大規模木造建築のための地域間連携促進ツール(企画から連携へ)令和4年度版

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概要

中大規模木造建築のための地域間連携促進ツール(企画から連携へ)令和4年度版の電子ブックです。

Ⅳ.資料編【支援ツール16】一括発注方式の特性と分類(以下は平成27年度報告書からの抜粋である。)一括発注方式は、発注者が設計者へ委託した図面と仕様書をもとに、施工者が工事を請負施工することになる。工事を請け負った施工者は、工期内に求められる品質の木材を調達し竣工後の瑕疵対応等も行う。公共木造建築物等の工事発注を行う場合は、単年度補助金のため一括発注方式を採用する場合が多い。鉄筋コンクリートや鉄骨造であれば、工業製品として材料の品質は整っているが、木材は品質を確保した材料をそろえる必要がある。また、地域材を利用する場合は、一括発注方式では、単年度で短期間に木材品質を確保する場合が多いので品質に留意しなければならない。地域で木材関係の情報共有や木材調達体制を整えた上で、一括発注方式で木材調達対応できるかどうかの判断が必要である。以下に示すのは、一括発注方式を行う際の注意事項や発注方式の分類と関係者の役割分担等に関する事項である。(1)一括発注方式における木材品質確保の注意事項一括発注方式では、木材の品質を確保するために注意しなければならいないことがある。効率的な木材調達を行うことがより良い木材品質確保にもつながるので、丸太の伐り旬や製材所能力に応じた計画が求められる。1丸太の伐り旬と虫害一括発注方式で一般流通材や集成材を使う場合は、求める品質の材料を確保しやすいが、地域材を活用する場合には、木材調達の面で課題が多い。丸太の伐り旬は、10月~3月とされている。それ以外の季節に伐採すると丸太に水分が多く、必要な含水率を確保するための木材乾燥の負担が大きくなる。また、夏季は丸太の虫害が多くなり、虫害の程度によっては、使えない材料が出てくる恐れがある。品質を確保しやすい条件を整えることが効率的な木材調達につながる。2短期間での調達による価格高騰一括発注の場合は、単年度補助金が財源の場合が多い。例えば、4月に施工者選定を行い、着工し、木材業者選定発注にいたると、6~7月になる。そこから3~4カ月で伐採、製材、乾燥、加工、納品という流れになる。また、請け負う製材所の能力にもよるが、製材能力を超えた量の受注対応するために材価格の高騰にもつながりやすい。木造でコストが高くなるのは、木材調達期間の短さが一つの要因である。中大規模木造建築物は、今まで建設数が少なかったため、製材所等は中大規模木造建築物に求められる木材規格や品質への対応経験が少ない。今後、中大規模木造建築物の着工件数が増え、経験値が高まることで、調達時の段取りや見積金額の出し方等が精査されてくることも見込まれる。3地域材活用量の低減発注者が、地域材を地域の力で供給することを考える場合に、一括発注の工期内に木材が調達できるかどうかの事前調査や確認が必要である。木材情報の共有と木材供給体制を整えられていない段階で発注してしまうと、木材の品質管理や加工、乾燥が工期内に対応できず、結果的に一般流通材等の利用量が増えてしまう場合がある。4木材関係書式の作成126